◆ 山田康雄氏吹き替え版イーストウッド作品 名セリフ集
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「恐怖のメロディ」
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テレビ放送版
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監督：クリント・イーストウッド
出演：ジェシカ・ウォルター（イヴリン・ドレイパー）/ ドナ・ミルズ（トビー・ウィリアム
ズ）/ ジョン・ラーチ（マッカラム巡査部長）/ クラリス・テイラー（バーディ）
/ アイリーン・ハーヴェイ（マッジ・ブレナー）/ ドン・シーゲル（マーフィ）/
ジェームズ・マッキーチン（アル・モンティ）
声の出演：イヴリン（新橋耐子）トビー（上田みゆき）、マーフィ（金井大）、
マッカラム巡査部長（神田隆）、
アル（筈見純）
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イーストウッドの初監督作品で、ストーカーの恐怖を描いたという点では時代を先取りした
サイコ・スリラー。
主人公が女たらしのＤＪ役ということで、山田氏の語り口もいつになくソフト。
ルパン「カリ城」における、ヒロインのクラリスに語りかけるような二枚目路線が続いて
いくかと思いきや、謎の女イブリンの異常な行動の連続にペースをかき回され、後半はど
んどん「ハリー」化していくのが面白い。
所有の録画ビデオには吹き替えキャストが表示されないので、イブリンの声をアテている方が
わからないのだが、演じるドナ・ミルズがわりと色っぽい声なのに対して、低音のおばさん声
で不気味。
彼女のキレた時の金ギリ声といい、オリジナルより数倍怖い吹き替え版だ。
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| 原語 |
“ Men have destroyed the roads of wonder and their cities squat like black toads.
In the orchards of life nothing is clean or real, or as a girl naked to love,
or be a man with. ”
This is Dave Garver with a little verse, a little talk and five hours of music to be
very, very nice to each other by.
（電話）
KRML, Dave Garver speaking.
A woman: Hello.
Hi,what'll it be ?
A woman: Play “Misty” for me.
“Misty,” huh ? We have that right on the play rack. Thanks for calling.
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| 字幕 |
“都市はひき蛙のようにうずくまる...薄汚れた命の国、無垢の男も女もいない。”
デイブが詩と音楽で綴る５時間です。
（電話）
リクエスト？
女： “ミスティ”を。
棚にある。 電話どうも。
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| 吹替 |
“運命は人生の感動を打ち砕き、その残骸は不吉な影となった...人生の感動は、恋を知った
裸の少女にも似ていたというのに...吐息ひとつ洩らさなくなった。”
音楽と詩で綴る５時間、お相手はデイブ・ガーバーです。
（電話）
ＫＲＭＬ、デイブ・ガーバーです。
女： どうも。
ああ、こんばんは。
女： “ミスティ”をかけて。
ミスティ...ね、いつもの演奏ですね。お電話どうも。
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| メモ |
ローカル・ラジオのＤＪである主人公デイブ・ガーバーの番組開始のトーク。
そして直後に、謎の女性から、いつものリクエストが・・・。
正直言ってイーストウッドは、当時、現在ほど台詞回しが上手ではないので、ここでのトーク、
特に詩を読む部分はけっこうキツイものがあるが、山田氏の吹き替えだと甘くささやく感じで
違和感がない。
字幕と吹き替え版で詩の翻訳がかなり違う点はしょうがないとしても、
字幕での電話上の会話は、もう少し字数あってもよいのでないか。
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| 原語 |
Evelyn: What happend ?
Dave: I won.
Evelyn: How ? When ?
Murphy: When you said “Okay.”
Evelyn: I ought to be mad.
Dave: But you're not.
Evelyn: Not really.
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| 字幕 |
イブリン： どうなったの？
デイブ： 勝った。
イブリン： いつ？
マーフィ： あんたのＯＫで。
イブリン： 怒るべきね。
デイブ： 怒ってる？
イブリン：いいえ。
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| 吹替 |
イブリン： どうなったわけ？
デイブ： オレの勝ち。
イブリン： どうなると勝ちなの？
マーフィ：あんたを座らせたの。
イブリン：デタラメ？
デイブ： 怒らないの？
イブリン： 負けたわ。
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| メモ |
デイブが仕事帰りにいきつけのバーへ行くと、そこには独りでイイ女が。
さっそくマスターのマーフィと、“Cry Bastion”という謎のゲームを始め、興味を惹かれた
彼女が近づいてきた場面で、ハナからゲームにルールなどなく、彼女をナンパするための道
具だったとわかるセリフ。
イーストウッドの師匠である映画監督のドン・シーゲルがマーフィ役で友情出演。
その前のゲームでのインチキなやりとりなどトボケた味が良い。
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| 原語 |
Dave: What happend to that discussion we had last time ?
You know, the deal about no storings and all that ?
Evelyn: Well there are no storings, but I never said anything about not coming back
for seconds, did I ?
Dave: That's right. You didn't.
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| 字幕 |
デイブ： 後腐れ無しって、先夜の約束はどうなった？
イブリン： 二度と会わないとは言っていない。違う？
デイブ： そうだな。
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| 吹替 |
デイブ： そりゃそうとさ、夕べ言ってたことはどうなった？
確か、「明日は他人でいい」って言ったぜ。
イブリン： 今だって同じよ。でももう会わないなんてことは言わなかったでしょ、どう？
デイブ： そういやあ、まっそうだ。
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| メモ |
一晩を共にしたイブリンが、翌日デイブの家にいきなり押しかけて来た。
勝手に食事の用意を始めるマイペースな彼女にデイブは皮肉を言うも、切りかえされてしまう場面。
吹き替え版は、これから起こることを予想していないデイブの軽薄さが良く出ている。
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| 原語 |
Evelyn: How'd you like to go screw yourself !
Dave: Hey, take it easy ! Guy's just trying to sleep that's all.
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| 字幕 |
イブリン： くたばっちまえ！
デイブ： 落ち着け、眠りたいだけだ。
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| 吹替 |
イブリン： やかましいのは、どっちよ！ 邪魔しないでよ！
デイブ： おい、いいじゃないか、寝てるところを起こされりゃ、誰だって怒るよ。
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| メモ |
明け方、家の前で帰り際の会話をする二人に、隣人が注意。
いきなりキレて、車のクラクションを連続して鳴らす彼女にデイブはびっくり。
彼女がタダ者では無いことと、意外とデイブは小心者であるのが判る場面であり、山田氏の
吹き替えでは、他の作品では見られないイーストウッドのオロオロした感じが巧く表現さ
れている。
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| 原語 |
There's a little spot in the middle of each day, just about your size.
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| 字幕 |
毎日、君だけの時間を作る。
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| 吹替 |
君がいなくなってから、毎日がスポン、スポン、抜け落ちてるみたいだった。
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| メモ |
元の恋人トビーに思いがけず再会したデイブ。
もう一度やりなおしたい気持ちを打ち明けるマジメな場面で、原語も気のきいた表現なのだが、
吹き替えだと「スポン、スポン」という山田氏の語感が妙におかしい。
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| 原語 |
Dave: Get lost !
Evelyn: Yeah, get lost assholes !
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| 字幕 |
デイブ： 失せろ！
イブリン： そうよ、クソったれ！
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| 吹替 |
デイブ： うるせえ、この野郎！
イブリン： うるせえ、この野郎、とっとと消えやがれ！
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| メモ |
イブリンからの電話に居留守を使ったデイブが店から出てくると、車に彼女が。
車のキーを取り上げた彼女とデイブがもみあっているところへ、近くにいた男たちが、「何かお困り
ですか」と声をかけたが、イライラしているデイブは怒鳴ってしまい、合わせて彼女も
悪態をつく。
今まで柔らかい物腰だったデイブが初めて感情を露にするセリフで、山田氏の語調もここはか
なり「ハリー」が入っている。
先日の悪態に続く彼女の罵声に、デイブは彼女がアブナイ女であることを
ようやく気づく場面である。
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| 原語 |
Evelyn: I'm sorry. I should've known you'd never do anything to spoil it.
Dave: To spoil what ?
Evelyn: What we have between us.
Dave: We don't have a goddamn thing !
How many was do I have to say this ?
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| 字幕 |
イブリン： あなたがぶち壊すわけないのに。
デイブ： ぶち壊す？
イブリン： 二人の仲よ。
デイブ： そんなものはない、どう言えばわかる？
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| 吹替 |
イブリン： ごめんなさい、疑ったりして。こんなことでおしまいにしないで...。
デイブ： おしまいにするってのは何だ？
イブリン： 私たちの間よ。
デイブ： 私たちっ？ 私たちの間に何があったかぁ？ 何も無いだろ最初からぁ、どう言ったらわかるんだ！
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| メモ |
デイブとトビーがヨリを戻したことを知ったイブリンは逆上、デイブの家に彼女がいるか、
確かめに飛び込んで来るが、彼女はいない。
あきれはてたデイブにイブリンは許しを乞うが・・・。
最後のデイブのセリフはとうとう彼の堪忍袋が切れた言葉で、吹き替えでは原語の字数より
多いが、山田氏がひと息で一気にまくしたてる。
山田氏の激高した時のセリフは音程がかなり高くなるので、ここではまるで「ルパン」が喋っている感じ
だ。
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| 原語 |
Birdie: Evelyn ! Evelyn !
Dave: Very funny Birdie. Very funny.
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| 字幕 |
バーディ：字幕無
デイブ： 笑わせてくれるよ。
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| 吹替 |
バーディ：イ〜ブリン！ イ〜ブリ〜ン！
デイブ： 汝いずこにぞ消えたもうや・・・。
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| メモ |
イブリンが自殺未遂をした朝、家政婦のバーディが来る。
突然彼女が消えたことを知って驚くデイブだが、事情を知らないバーディは、彼がいつもの
ように女性を泊めたのかと勘ぐっている。
文章だとわからないが、ここはイブリンの名を知ったバーディが冗談で、枕の下を覗いたりや
タンスの扉を開けて彼女を捜す場面で、何が何だがわからないデイブの混乱の言葉だ。
吹き替えでは違うことを言っているのだが、デイブが自嘲してる感じがよく出ている。
デイブの部屋にブタの写真の大ポスターも貼ってあるのも、なんだが妙におかしい。
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| 原語 |
Sgt.Mccallum: Oh,there's one other thing.
Dave: I know. Don't leave town.
Sgt.Mccallum: I was gonna say, “Why don't you play some Montavani sometime ?”
Dave: Didn't know you liked the show, Sergeant.
Sgt.Mccallum: I don't. I like Montavani.
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| 字幕 |
マッカラム： もうひとつ。
デイブ： 分かってる。町を出るな。
マッカラム： マントバーニ楽団を頼む。
デイブ： 放送を聞くのか。
マッカラム： いや、楽団のファン。
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| 吹替 |
マッカラム： ああっと、もうひとつあるんですが...。
デイブ：分かってます。「町を出るな」でしょ。
マッカラム： 番組のことですよ。マントバーニ・オーケストラがかかりませんね。
デイブ： ポップスなんかお聞きになるんですか？
マッカラム： ええ、好きなのはマントバーニでね。
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| メモ |
大手ラジオ局の女社長との会談をぶち壊すだけでは飽き足らないイブリンは、今度はデイブの
留守中に家政婦に切りかかった。
事件の捜査に来た警察のマッカラムはデイブにいろいろ聴取するが、デイブはなかなか真実を
言おうとしない。
あきらめて帰ろうとした時に、デイブにひとこと注文をつけたセリフだ。
前段のセリフもそうだが、本作では暴力描写の後の場面では必ずちょっとしたジョークや気の
利いたセリフがある。
緊張感の続いた場面の後にホっとさせてくれる場面をインサートするのは、現在のイースト
ウッド作品まで続いている手法だ。
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| 原語 |
And now here's a pretty one for lonely lovers on a cool, cool night.
It's the great Eroll Garner classic “Misty.”
And this one is especially for Evelyn.
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| 字幕 |
寒い夜、孤独な恋人達に贈る曲。
Ｅ・ガーナーの「ミスティ」をイブリンに。
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| 吹替 |
報われぬ想いをそっと抱いて、ラヴェンダー・ブルーの霞にさまよう...。
エロール・ガーナーの名曲「ミスティ」。
ひとりぽっちのイブリンに贈ります。
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| メモ |
イブリンがトビーの新しいルームメイトであることに気づいたデイブは、録音済みのテープを
セットしてトビーの家に向かう。
トビーをいたぶった後でデイブに襲いかかるイブリンだが、最後はデイブの鉄拳で、窓
を破り、崖下へ転落する。
傷つき寄りそう二人の側で、ラジオからデイブのトークと「ミスティ」が流れる。
このトークは中盤、イブリンが自宅での食事に誘うために局に電話してきた際に「ミスティ」を
リクエストした時のものだが、最後は皮肉な形で使用される。
吹き替えの詩は原語にまったく出ていないが、同じ詩集からの引用からか、翻訳家が考えたオリジナルの
フレーズなのか・・・？
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（吹き替えキャスト情報・提供 "自称吹替評論家" 様 Thanks!)
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