12/5 ニューヨーク近代美術館において著名人を集め行われた、"Million Dollar Baby" の ワールド・プレミアに関するトピックス記事です。

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「デイリー・ニュース」紙


Celebs ring in boxing flick


文：ハドソン・モーガン　（HUDSON MORGAN）





女性ボクサーを描いた、クリント・イーストウッドの気概のあるスポーツ映画のワールド・ プレミアのために、ハリウッドのヘビー級スターたちが、昨夜ニューヨーク近代美術館に 詰めかけた。


「ダーティハリー」は、"Million Dollar Baby" (以下：MDB）の初披露のために、クリーン な外観で登場した。 同映画は彼の監督作品であり、アイルランド人のカトリック教徒である白髪の ボクシングコーチ役で主演している。


ダークのスーツとネクタイを着用した、アカデミー賞受賞監督は、 新作の出演俳優の二人であるモーガン・フリーマンやヒラリー・スワンクとの写真の ためにポーズをとっていた。


パパラッチのために微笑んでいる間ずっと、74歳のイーストウッドはカメラマンに指図 されることを避けられなかった。


「君はミドル級に入るね」とスワンクに語りかけると、彼女は「わたしのこと？」と 吹き出した。 同美術館では先月に再開して以来の初のワールド・プレミアであった。 映画が、"Roy and Niuta Titus" 劇場で上演される前に出演者メンバーとゲストたちは、バーネット・ニューマンの高くそびえる彫刻 "Broken Obelisk" やモネの"Water Lilies" の隣でカクテルをすすっていた。 「この作品は肉体的にやりがいがあったわ。でも感情的にも知性的にも同様でした」とスワンクはデイリー・ニュース紙に語った。


オスカーを獲得しているこの女優は成功に飢えたファイター、マギー・フィッツジェラルドを演じている。


「私が今回学んだ一番大きな事は、私の心が最も大きな障害であるということです」。 黒のカルバン・クライン・ドレスを着た30歳のスワンクは語った。 「ボクサーとしてトレーニングすると、それが自分を抑制して自分の邪魔をすること が確実に可能となるの。私は、誰でも自分の心が自分の最も大きな障害を作り出す、と考えているわ」


本作で元ボクサーのエディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリスを演じる、67歳のフリーマンは、自分はたいしたファイターであったことはない、と明かしてくれた。


「やめてくれよ。誰もパンチしてくるなよ。ケガしちゃうから」とフリーマンは語る。 「人を叩くというのは本当に悪い事だよ」


「私は以前鼻にパンチを受けた」と彼は語った。 「私はたいしたファイターじゃないんだ。いつも自分に成功の見込みは無いと言い 聞かせているよ」


22歳の俳優ジェイ・バルチェルは映画でデンジャー・バーチという名のボクサーを演じている。 故郷のカナダで過去に得たわずかな記憶の断片を思い出す。


「6、7年は相当なファイトはしてないな」バルチェルは語る。 「高校時代で成長が止まってね、それでボクの戦いは終わったんだよ」

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「バラエティ」紙


Eastwood brings 'baby' into world


文：ビル・ヒギンズ





日曜日、近代美術館で行われた "Million Dollar Baby" のプレミア上で、この作品の 製作者たちは、映画賞シーズンにこの作品がレーダーに映らない位置にあることが快適 であると語った。


「私たちはマーケットに強要させることなく、この作品を自身で見つけてくれる人々を 求めています」 、と製作総指揮者のロブ・ローレツは語った。


監督・主演のクリント・イーストウッドは自分の女性ボクシング物語が、その発端から 前座試合の状況であったことを語った。


「スタジオが製作しないように願う映画の一本だったんだ」とイーストウッドは語った。 「私たちはクランクをちょっとだけひねる必要があった」


近代美術館の舞台下で行われた上映前のレセプションには、ワーナーの リチャード・パーソンズ、バリー・メイヤー、アラン・ホーン、ジェフ、ロビノフ、 そしてダーン・タウビンに加え、来賓のジェームズ・ウッズ、ケヴィン・ベーコンや アンディ・ガルシアらが出席した。

2004　/　12　/　10

今年は現地時間1月16日にロサンゼルスのビバリー・ヒルトン・ ホテルで行われた、「第62回ゴールデン・グローブ賞」授賞式。


"MDB" は、作品、監督、助演男優、主演女優、オリジナル作曲の5部門でノミネート されており、結果は、監督賞とヒラリー・スワンクの主演女優賞の2部門の受賞。

各有力候補とも賞を平均的に分け合ったことで、アカデミー賞が混戦の模様になってきました。



式前のレッド・カーペットでは、イーストウッド・ファミリー大集合が壮観。



（右からフランシス・フィッシャー、最初の妻との長女アリソン、愛人との娘キャサリン 現妻ディナ、フィッシャーとの娘フランチェスカ）


有名人の娘が担当するのが恒例である授賞式のアシスタントを、今回キャサリンが務めること も話題となりました。





■　ヒラリー・スワンク　主演女優賞受賞スピーチ
　（訳は、NHK-BSによるダイジェスト放送の字幕より）



クリント・イーストウッドやモーガン・フリーマンと共演したなんて夢みたい。



まず外国記者協会に感謝します。


私に脚本を送ってくれた、トム・ローゼンバーグとゲイリー・ルチェシには、 どんなにお礼を言っても言い尽くせません。


そのほか、アルバート・ルディ、ロバート・ローレンツ、クリント。



ポール・ハギスが仕上げた脚本はすばらしくて演じるのが怖かったわ。



配役担当のフィリス・ハフマン。



トレーナーのヘクターとグラントは、私が限界を越える手助けをしてくれた。
付き合ってくれた練習相手の方々、ブルックリンのグリーソンズ・ジムのみんな。

わざとＫＯされて、私を目立たせてくれた女性たち、ありがとう。



それから共演者のモーガン・フリーマン、“優雅”とはあなたの事です。あなたと共演できて本当に光栄でした。


そしてこの業界でも特別な存在のクリント。
硬派な（原語では、Go ahead, Make my day ）なイメージを崩すつもりはありませんが、あなたは実に寛大な人です。その広い心で皆を包んでくれる。 初めて会ったときから、私を信じてくれて、私も自分に自信が持てました。 この作品のかじを取り、皆を見事に導いてくれて、同時に最高の演技を披露していたと思います。 ありがとう。 さらに製作から作曲までこなすなんて、その才能には脱帽させられます。


ワーナーのアランとジェフ、営業と宣伝の方々、宣伝係のトロイ・ナンキン。


私を支えてくれる父さんと母さん。


エージェントの・・・まだかなり大勢いるわ・・・。
ジョシュ・リーバーマン、トニー、ケリー、ジョン、ＣＡＡのみんな、マネージャーの ジェイソン・ワインバーグ、弁護士のカールとジェフ。


他にいるかしら？・・・冗談よ！
夫のチャド・ロウ・・・あなたの支えは私にとって・・・説明できないほど大きいわ。私のすべてよ。 ありがとう。


本当にありがとう。





■　イーストウッド　監督賞受賞スピーチ


---　スタンディング・オベーション　---
（プレゼンターのロン・ハワードと握手後、本授賞式アシスタントの娘キャサリンと軽く抱擁）


ありがとう、本当にありがとう。
（おどけて）感謝するぜ。


赤じゅうたんで“タキシード賞”をもらい、運を使い果たしたと思ったよ。


外国記者協会に感謝します。
あなたがたの活動には敬意を表したい。特に津波被害者への寄付はね。ありがとう。


ヒラリー・スワンクにも感謝します。世界一の俳優モーガン・フリーマンにも。


そして、ポール・ハギスとアルバート・ラディ。レイクショアのトム・ローゼンバーグ、 ゲイリー・ルチェシ。アラン・ホーン、バリー・メイヤー。


本作を支えていただいた皆様に心から感謝します。バイバイ〜。





■　プレスルームでのイーストウッドのコメント



Ｑ：今までマスコミから注目されなかった訳は？


宣伝の担当者がいなかったせいだろう。その必要のない作品だと信じていた。
脚本がすばらしく、物語にも力があって自信が持てた。役者も名優ぞろいで。

去年の「ミスティック・リバー」の際、宣伝を控えたほうが観客に期待させすぎず、純粋 に良し悪しを判断してもらえると分かった。 この作品も同じで判断は観客に委ねている。

気に入ってもらえれば、作品は独り歩きを始めてくれる。


Ｑ：ヒラリー・スワンクのスピーチはどうでしたか？


すごい記憶力だね、皆の名前を読み上げていた。
私なんか、自分のエージェントの名前すら危ない。年を取ると忘れっぽくなる。

2005　/　01　/　16

アメリカ最大の映画の祭典、第77回アカデミー賞のノミネートが、1月25日に発表。
"MDB" は、


・作品
・監督
・主演男優
・主演女優
・助演男優
・脚色賞 （ポール・ハギス）
・編集賞 （ジョエル・コックス）


の計7部門でノミネートされました。


それまでの映画賞レースでは、イーストウッドの男優賞はノミネートもされておらず、ここに 来てのノミネートはうれしいサプライズ。
反面、Gグローブ賞でノミネートされていたオリジナル作曲部門は、製作会社の書類提出に不備が あったため、選考外となったのがちょっと残念。
さて、下馬評では、Gグローブ賞以降、人気が急上昇した「アビエイター」が計11部門のノミネート で最有力と噂され、オスカー無冠のＭ・スコセッシとイーストウッドの対決、そして「ボーイズ・ドント ・クライ」で主演女優賞を初受賞したスワンクと当時それを逃したアネット・ベニングの再戦といった ことが興味の的となりました。


そして授賞式が、27日（日本時間28日）、ロサンゼルス、ハリウッドのコダック・シアターで 行われ、
作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞
の主要4部門で受賞を果たしました。





まずは、レッド・カーペットでのインタビュー


聞き手は、ロジャー・エバート（Roger Ebert) とジョージ・ペナチオ (Gerge Pennacchio)
訳は、NHK-BS（オリジナルは米・ABC 製作）で放送されたものの字幕より。





■　ヒラリー・スワンク



夫チャド・ロウと到着のスワンク


Ｐ：受賞間違い無しのＨ・スワンクです。


Ｓ：どうもありがとう。ここに来られて幸せだわ。


Ｅ：作品が評価を得る前にインタビューしたが、皆この作品の虜になっていた。


Ｓ：そうなの。出演できて光栄だった。クリントとモーガン、脚本もすばらしく、皆の反応も良くてうれしいわ。


Ｐ：前回は、ランドルフ・デュークのドレスでしたが、今回のデザイナーは？


Ｓ：今夜はギラロッシュよ。


Ｐ：夫からの評価は？


Ｌ：彼女は何を着ても似合う・


Ｐ：ヒラリーが受賞スピーチをする時、客席の御主人が映る。その誇らしげでうれしそうな姿は見ていて幸せな気分になります。


Ｌ：今夜は泣かないように頑張らなきゃね。


Ｓ：私たちはこういう場所に来ると、見つめ合って確かめるの。お互い夢見た仕事についてるから、その幸せをかみしめるのよ。


Ｅ：君を見るたび、お母さんと苦労したって話を思い出す。ビッグになることを夢見て、それを実現させたんだね。


Ｓ：母にはとても感謝してる。初心を忘れずこれからもがんばっていくわ。


Ｐ：お話をどうもありがとう、今夜は二人とも楽しんで。





■　モーガン・フリーマン


フリーマンは一家でご到着。
スーツはリチャード・タイラーのデザインで、オーソドックスなタキシードが多 い男性陣の装いの中では渋い。







Ｅ：助演男優賞にノミネートされた、“偉大な”モーガン・フリーマンです！


Ｆ：ガッハッハ！　どうもありがとう。


Ｅ：４回目のノミネートだね。今夜こそ受賞かな？


Ｆ：どうなるかな、そうなるといいね。


Ｅ：最高の作品だ。


Ｆ：テレビでいい評価をしてくれたね。うれしかったよ、ありがとう。


Ｅ：ポール・ハギスやＨ・スワンクに聞いたが、脚本には全く手を加えず、撮影に入ったらしいね。


Ｆ：そうなんだよ。めったに出会えないほど、いい脚本だった。


Ｐ：次回作はイメージを一変して、「バットマン・ビギンズ」？


Ｆ：（笑）その通り。


Ｐ：受賞者を私なりに選んでみましたが、選ばれたと思いますか？


Ｆ：見ていい。


（ペナチオのタキシードの裏地に、各部門を予想した名が入っている封筒が貼りつけられている。


Ｅ：助演男優賞だ。
Ｐ：開けて、受賞者は？



Ｅ：“モーガン・フリーマン”！
Ｐ：おめでとう！



Ｆ：（苦笑）


Ｐ：モーガン、幸運を祈ります！


Ｅ：助演といっても存在感のある役だね。特にリングの場面。いい役だ。


Ｆ：ありがとう、ロジャー。





■　イーストウッド


イーストウッドはいつものように、妻ディナを連れての登場。
タキシードはＧ・アルマーニのデザイン。



レッド・カーペットこそ一緒でなかったが、ママ、娘アリソン、フランセス・フィッシャー 親子など、あいかわらずイーストウッド・ファミリー勢揃いで出席していた。


イーストウッドびいきのＲ・エバートが、イーストウッドに何を聞くのか楽しみだったが、 運が良いのか悪いのか、マーティン・スコセッシとバッティングしてしまう。


Ｐ：次はマーティン・スコセッシとクリント・イーストウッドです。 マーティンの作品は１１部門の候補、お二人にとっては最高の夜でしょうね。 競ってる様子が全くありません。（おいおい・・・）


（イーストウッドとスコセッシが肩を組んで）
ＣＥ：一緒に映画を作ったことがある。
ＭＳ：「ピアノ・ブルース」だ！





Ｐ：クリント、手に持ってるのは？


ＣＥ：娘が作った“ぺちゃんこスタンレー”だよ。 （彼も後援している教育施設の支援団体のキャンペーン・マスコットらしい）


ペナキオの質問がスコセッシにふられると、イーストウッドは気を利かしたのか、もしくは居心地が悪いのか、エバートに軽く手を振り、その場を離れる。


せっかく話そうとしていたのに、去られてしまったエバート、ムッときたのか、 スコセッシに対し、
「昔は地味でもいい作品を撮っていたのに、最近はやたらスケールの大きい作品ばかりですね」 とキツイ質問。


答えに詰まったスコセッシ、
「いやあ、『ミーン・ストリート』を作る前は、そういう作品を作りたかったんだよ〜」 と答えるのが精一杯。

2005　/　02　/　27

■　助演男優賞　モーガン・フリーマンのスピーチ



（ダイジェスト放送での）受賞式は美術賞の発表からスタート。
いきなり、前日ラジー賞受賞のハル・ベリー登場というのがおかしい。


同部門は「アビエイター」が受賞し、まずは一冠で、何やら圧勝ムードが・・・。


続いて、助演男優賞の発表。
プレゼンターは、レニー・ゼルウィガー。


フリーマンの名が発表されると、カメラはフリーマンを捉えるが、手前に座ってい たイーストウッドはガム噛んでました。


フリーマンは、イーストウッドの腕に軽く触れ、壇上へ。
去年のＳ・ペンやＴ・ロビンスのような、万感の想いでがっちり握手といった感じはなく、 ニコリと微笑み合い、気心の知れた男同志のさりげないところが良い。
ちなみに、“ＭＤＢ”関係者たちの席は、最前列で、ステージへ昇る階段のまん前、 文字通り、最もオスカーに近かったわけだ。




ゼルウィガーとハグした後、オスカー像をちょっと落としそうになるフリーマン氏、 しっかり像を握り締める。


会場はスタンディング・オベーション。


スピーチ： ------------------


I want to thank everybody and anybody who ever had anything at all to do with the making of this picture. But I especially want to thank Clint Eastwood for giving me the opportunity to work with him again. And to work with Hilary Swank. This was a labor of love. And I thank the Academy. I thank you. So very much.




私は、皆さんに、そしてこの映画の製作に、少しでも何らかの形で関わった人たちに 感謝したい。


しかし特に、再び一緒に仕事をする機会を与えてくれたクリント・イーストウッドに 感謝したい。 そして、ヒラリー・スワンクと一緒に働けたことに。


今回は満足出来た仕事だった。アカデミー協会に感謝する。ありがとう。本当にありがとう。
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演技部門受賞者の中では一番短かったが、この日一番“ＣＯＯＬ”なスピーチと評判だった。





（注：スピーチはテレビ放送では、受賞者によって一部カットされている部分もあるので、 アカデミー賞の公式サイト：www.oscar.com/ に掲載されているスピーチより引用、訳しています）










■　主演女優賞　ヒラリー・スワンクのスピーチ





フリーマンが助演男優賞を獲得して以降は、助演女優（ケイト・ブランシェット）、衣装 デザイン、編集、撮影、と主要な技術部門をほとんどさらった「アビエイター」。
同作品に完全に流れ向いてきたところで、ここでは「アビ」の候補者のいない主演女優賞の発表。


プレゼンターは、ショーン・ペン。
演技部門は、前年の受賞者がプレゼンターとして出席するのがお約束なのだが、 彼の授賞式の出席は、当日の4日前に協会側から発表された。


去年は母親とイーストウッドのために出席したと公言しているペンだが、今年はその “恩人”イーストウッドに受賞の可能性があることを見越しての出席かも。


ノーネクタイの開襟姿で登場。少々緊張気味だが、開口一番、授賞式冒頭に司会のクリス・ ロックがジュード・ロウをからかったことに・・・、ジョークに抗議。


「冗談だとわかっているが、司会者の質問に答えるよ。ジュード・ロウって奴は 最高の俳優さ。彼や他の全ての才能ある俳優が理解しているのは、あらゆる偉大で 才能ある俳優のために、ほとんど魔法とも言える5人の女優たちがいるってことだ」 と、ジョークかマジなのか微妙なコメント。


続いて、本来「ノミネートされた人たちは・・・」と言う候補者紹介を、 「今年のアカデミー協会のお気に入りは・・・」とするのも、ペンらしいヒネクレぶりだ。


というわけで、なかなか発表されない女優賞、 最後にペンは、封筒を開けて不敵な微笑みを浮かべ、ヒラリー・スワンクの名を告げた。


スワンクは夫とハグし、続けてイーストウッドと唇に軽くキスをして、ステージ上へ。
イーストウッドはまだガム噛んでました。



スピーチ：-------------------


I don't know what I did in this life to deserve all this. I'm just a girl from a trailer park who had a dream. I never thought this would ever happen, let alone be nominated. And a working actor, for that matter. And now, this. I thank the Academy. I'm eternally grateful for this great honor. I would also like to acknowledge my fellow nominees, Annette, Imelda, Kate, and Catalina, your work inspires me beyond words.


I am going to start by thanking my husband because I'd like to think I learned from past mistakes. Chad, you're my everything. Thank you for your support. It means the world. I would never be standing here if it weren't for the -- each and every one of the brilliant people I had surrounding me, supporting me and believing in me. Tom Rosenberg, Gary Lucchesi, thank you for sending me this most marvelous script. You will never know how grateful I am. Paul Haggis, for writing this beautiful script. Our other producers extraordinaire: Al Ruddy, Clint, Rob Lorenz. Phyllis Huffman, our casting director. My trainers, Grant Roberts and Hector Roca, you pushed me further than I ever thought I could push myself up to that last pound, actually to that last ounce. I thank you. My sparring partners who were so patient. And everyone at Gleason's.


Well, the ever-amazing Morgan Freeman. Tom Stern, our cinematographer, you are brilliant. Joel Cox, our editor, you're amazing. You know? I'm going to thank my mom for believing in me from the beginning. My dad, for his support. My agents, Josh Lieberman, Tony Lipp, Kelly Tiffan, John Campisi. Jason Weinberg my manager (You can't do that. I haven't gotten to Clint yet! I saved him for the end)


Karl Austen, Jeff Bernstein, my lawyers. And then Clint. Clint Eastwood. Thank you for allowing me to go on this journey with you. Thank you for believing in me. You're my "macushla" Thank you. Warner brothers, as well. And you know what? Wait! Troy Nankin, my best friend and publicist. Thank you!





私はこういうことに値するために、これまでの人生で何をしてきたか、自分でもわからないの。
私はトレーラー・パーク（トレーラー・ハウス用の駐車場）育ちの、ただの夢見る少女だったわ。
ノミネートされることは言うまでもなく、こんな結果になるなんて考えたこともなかった。 役者として働けるだけで幸せなのに、今、こうしていられるなんて。


アカデミー協会に感謝します。この素晴らしい名誉に永遠に感謝します。


さらに、共にノミネートされた、アネット、イメルダ、ケイトとカタリナに感謝したいの。 あなたたちの演技は言葉にならないほど、私を奮い立たせてくれたから。


過去の間違いから学んだと思いたいから、私は夫に感謝することから始めたいわ。
チャド、あなたは私のすべてよ。支えてくれてありがとう。私にとってかけがえのない存在よ。


私を見守り、私を支え、私を信じてくれた才気あふれてる人々ひとりひとりがなかったら 、私はここに立っていないでしょう。


トム・ローゼンバーグ、ゲイリー・ルケシ、この最高に驚くべき脚本を私に送ってくれてありがとう。 私の感謝の気持ちがどれくらいか、わからないでしょうね。


この美しい脚本を書いてくれたポール・ハギスに。


その他に、非凡な製作者たち、アル・ルディ、クリント、ロブ・ローレンス、 キャスティング・ディレクターのフィリス・ハフマンに。


トレーナー、グラント・ロバーツとヘクター・ロカに。
自分では最後のポンドまでは上げられると考えていたけれど、予想に反して最後の オンスを上げられるところまで、私を励ましてくれた。


とても忍耐強かった私のスパーリング・パートナー、そして、皆さんグリースン・ジムのみなさん。
ありがとう。


正に驚くべきモーガン・フリーマン。
撮影のトム・スターン、あなたは抜群です。
編集のジョエル・コックス、あなたは素晴らしいわ。わかってるでしょ。
産まれた時から私を信じてくれているママにも感謝したいわ。支えてくれた、パパにも。


エージェントのジョッシュ・リバーマン、トニー・リップ、ケリー・ティファン、ジョン・ケンピシに。 マネージャー、ジョン・ワインバーグ・・・、
（スピーチ制限時間の“巻き”の音楽が）


まだ止めないで！まだクリントのことを言ってないから！　彼は最後に取っておいてるの。


弁護士のカール・オースティン、ジェフ・バーンシュタインに。





それからクリント、クリント・イーストウッド。
あなたとこの仕事をするのを許してくれて感謝します。
私を信頼してくれて感謝します。
あなたは、私の"macushla"（アイルランド語で最愛の人）です。ありがとう。


同様にワーナー・ブラザース・・・（さらなる“巻き”の音楽は「荒野の七人」）
あのお、ちょっと待って！


私の親友でパブリシストのトロイ・ナンキン。ありがとう！


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制限時間が30秒と短すぎるのはわかるけど長すぎ、今年のワースト・スピーチと専らの評判。
実際、放送では、半分以上がカットされていました。
Ｇ・グローブ賞時が巧くまとめていただけに、またフリーマンが簡潔だっただけに、 ちょっと残念。


ちなみに、“過去の間違いから学んだと思いたいから・・・”というのは、前回の 受賞スピーチで、夫の名を忘れていたことからだそうです。





■　監督賞スピーチ　イーストウッド


プレゼンターはジュリア・ロバーツ。
彼女は今回のシークレット・プレゼンターで、出産以来、公の場に姿を見せるのは初めて。


名前を告げられイーストウッドは、スタスタ、ステージに向かおうとすると、背後から 奥さんに腕をムンズと掴まれ、半強制的にキスされとりました。


ステージ上で、ロバーツとハグし、キスを交わした際に、よだれが出たのか （ずっとガム噛んでたから）、もしくは唇が乾いてたのか、彼女に指で唇をぬぐってもらい 、苦笑のイーストウッド。






会場はスタンディング・オベーション。
カメラが捉えた映像では、ティム・ロビンス、ローラ・リニーも大きく拍手。






スピーチ：---------


Thank you. Thank you very much. Thank you. I'd like to thank my wife, who is my best pal down here. And my mother, who was here with me in 1993. She was only 84 then. But she's here with me again tonight. And she just -- so, at 96, I'm thanking her for her genes.


It was a wonderful adventure. It takes a -- to make a picture in 37 days, it takes a well-oiled machine. And that well-oiled machine is the crew -- the cast, of course, you've met a lot of them. But there's still Margo and Anthony and Michael and Mike and Jay and everybody else who was so fabulous in this cast. And the crew, Campanelli. Billy Coe and, of course, Tom Stern, who is fantastic. And Henry Bumstead, the great Henry Bumstead who is the head of our crack geriatrics team. And Henry and Jack Taylor, and Dick Goddard, all those guys. Walt and everybody. I can't think of everybody right now.


I'm drawing a blank right now. But, Warren, you were right. And thank you, for your confidence earlier in the evening. I'm just lucky to be here. Lucky to be still working. And I watched Sidney Lumet, who is 80, and I figure, I'm just a kid. I'll just -- I've got a lot of stuff to do yet. So thank you all very much. Appreciate it.





ありがとう、本当にありがとう、ありがとう。下にいる最高の友人でもある妻に感謝したい。 そして私の母親に。彼女は1993年に一緒にこの会場にいたんだ。
当時は84歳だったのに。でも今夜、再びこうして私といる。
（映像はママを大きく捉える）
そして、彼女はちょうど今・・・そう96歳でね。私は彼女の遺伝子に感謝してるよ。


それは、素晴らしい冒険だった。37日間で製作するためには、円滑に動く機械が必要なんだ。
その円滑に動く機械とはスタッフのみなさんだ・・・もちろん出演者たちも。 あなたたちは多くの要求を満たしてくれた。
しかし、まだ、マーゴ（・マーティンデール）、アンソニー（・マッキー）、マイケル （・ペナ）、マイク（・コルター）、ジェイ（・バルチェル）がいる。
今回の作品では他の誰もが非常に素晴らしかったよ。


スタッフでは、“Campanelli”ビリー・コー、もちろん、素晴らしいトムスターン、 ヘンリー・バムステッド、我々しわがれ声の老人病チームの代表である偉大なヘンリー ・バムステッド。
ヘンリーおよびジャック・ティラー、そしてディック・ゴダード、クルーのすべての奴らに。
ウォルトとみんなに。今すぐ全員の名が思いつかないな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今はボォッ〜としてる状態だよ。でも、ウォーレン(・ビーティのことか？）、君は正しかった。夕方早くの君の確信に感謝するよ。


私がここにいられるのは幸運なだけだ。今もまだ働き続けていられることが幸運だ。
シドニー・ルメットをお見かけしたが、彼は80歳だよ。私なんてただのガキさ。
だから・・・私はまだやるべきことが多くある。
（階上の特別席にいる、シドニー・ルメットも笑って拍手）



みなさん本当にありがとう。感謝する。


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場内の「アビエイター」優勢ムードが、ここで大きく変わり・・・。


■　作品賞　発表


プレゼンターは、ダスティン・ホフマンとバーブラ・ストライザント。


「ミート・ザ・ペアレンツ」の続編「ミート・ザ・フォッカーズ」で夫婦役を演じた二人は 、ステージ上でも夫婦という設定。


口上の順番を巡りケンカするという掛け合いで笑わせる。


最後も、「発表は私よ」と封筒を取り上げ、受賞作品名を読み上げようとするが、 「老眼鏡を忘れちゃって」と中身をホフマンに見せ、耳打ちして教えてもらう。


（各候補者の5分割映像、イーストウッドはやや身を乗り出す）


ニッコリ微笑むストライザント。


「ハッピーね。また、あなたによ、クリント・・・」
（作品名より先に名を告げ、場内に喚声というか悲鳴が）
「...and the Oscar goes to "MILLION DOLLAR BABY" !!!! 」





イーストウッドは一瞬とまどい、すぐに満面の笑顔。
奥さんは絶叫し、スワンクと泣きながら抱き合う。
フリーマンはにっこり。
ママも大きく拍手。


イーストウッドは後方で待機していた、製作者トム・ローゼンバーグと握手し、ステージ上へ。
同じく製作者のアルバート・S・ルディは、（高齢で足が不自由なのか不明だが）舞台の袖から登場。


各製作者は、ホフマンとストライザントとハグ＆握手。


ストライザントと何やら言葉を交わしているイーストウッドだが、ストライザントは 「ガントレット」のマリー役の第一候補だった（というか彼女主演の企画）。 イーストウッドが気に入らずに、Ｓ・ロックになったという因縁があるので、 これはなんとも興味深いツーショット。



スピーチ：---------------


Clint Eastwood: Albert S. Ruddy was the one who gave us this script. And I came here in 1972, was it? It was 72, to give him the Oscar for THE GODFATHER. So, I'm glad to be back with him tonight.


Albert S. Ruddy: Actually, this is the third award ceremony we've gotten to in this category. And tonight, we won. And I would tell you every time I started going to this thing, I'd say I'm going to enjoy myself whether I win or lose. But believe me, as Arnold said, "It's better to win!" I love it. Thank you, everybody. Now -- this is a great honor that celebrates the talent of Hilary Swank, Morgan Freeman, and the genius of Clint Eastwood. Now, one other quick -- I want to thank Anjelica Huston, who introduced me to F.X. Toole and Paul Haggis for writing a brilliant screenplay. And the only thing left for me to do in my life now, is thank my wife, who believed when I was worried. My two great children. I'm going to sit down, and get a piece of lemon pie with the real filling. I'm going to look at this. And then, I'm going to die and go to heaven. Thank you.


Tom Rosenberg: I want to thank Warner Brothers, Alan Horn, Steve Spira...


Clint: Keep talking. Don't let them drown you out.


Tom Rosenberg: And I'd like to thank my partners, Gary Lucchesi and Terry McKay. And everybody at Lakeshore. And of course, the fantastic and fabulous, Clint Eastwood. And my other partner, Elizabeth Alkon.


Clint: And everybody at the Mission Ranch in Monterey county, who is watching the show.





イーストウッド：
アルバート・S・ルディは、我々にこの作品の脚本を与えてくれた人だ。
私は1972年にここに来たんだっけ？・・・（ルディ：そうだ） 72年のことだ。「ゴッドファーザー」で、彼にオスカーを手渡した。
だから今夜彼と一緒に戻って来れてうれしいよ。


アルバート・S・ルディ：
実は、今回は我々がこの部門で候補となった3度目の授賞式なんだ。そして今夜、我々は受賞した。
私はこの受賞式に出席し始めた頃はいつも、勝つか負けるかにかかわらず 私自身が楽しむつもりだと話していたものだった。
しかし、これは本当のことだが、アーノルドが言っていたように、「受賞するほうがいいんだ！」 私はこの言葉が好きだ。 皆さんありがとう。


さて・・・これは、ヒラリー・スワンクおよびモーガン・フリーマンの才能、そして クリント・イーストウッドという天才を誉めたたえる素晴らしい栄誉だ。
ええっと、他の人のために急がなきゃ、私はアンジェリカヒューストンに感謝したい。 彼女は私をＦ・Ｘ・トゥールに紹介してくれた。そして素晴らしい脚本を書いてくれた ポール・ハギスにも。


現在、人生においてするべき、私に残された唯一のことは、妻への感謝だ。 彼女は私が悩んでいても信頼してくれた。
私の素晴らしい二人の子供たちにも。
これから、ゆっくり落ち着いて、本物が詰まっているレモン・パイを一切れ食べるつもりだよ。 これを（オスカー像）を見ながらね。それから死んで天国に行く予定だよ。ありがとう。


トム・ローゼンバーグ：
ワーナー・ブラザース、アラン・ホーン、スティーヴ・スピラに感謝したい・・・
（“巻き”の音楽が・・・）
イーストウッド：話し続けろよ。 君の話を中止させるな。



トム・ローゼンバーグ：
・・・私のパートナーである、ゲイリー・ルケシとテリーマッケイに感謝したい。 そして、レイクショアの皆さんにも。
もちろん、ファンタスティックで素晴らしいクリント・イーストウッド。
そして、私の他のパートナー、エリザベス・アルコンに。


イーストウッド：
授賞式をテレビで見ている、モントレー郡の（イーストウッド所有のリゾート施設） ミッション・ランチのみんなに。
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舞台下では関係者が抱擁するなどまだ余韻が残っているが、式の中継はここで終了。

2005　/　02　/　27

（コメント訳はテレビ放送の字幕より）


■　Ｍ・フリーマン




Ｑ：この受賞を待ち望んでいましたか？


う〜ん、難しい質問だね。
「ドライビング・ミス・デイジー」以降、私はアカデミーを哲学的に考えるようになった。 候補になることが、アカデミーの最高峰で、それ以上ないとね。 受賞するかどうかはどうでもいいのさ。最高峰の中で１番を選ぶなんて変だろ？


・・・でも、名前を呼ばれた瞬間、そんな哲学は吹っ飛んだけれどね（笑）。





Ｑ：主演と助演男優の両部門を黒人俳優が受賞するのは、７７年の歴史上初めてのことです。
そのことをどう思われますか？


ハリウッドの新たな歴史になるね。
時代は巡り、世の中は変わっていく。我々も世界とともに変わっているということだ。








■　Ｈ・スワンク





Ｑ：２度目の受賞ですが、今回の感想は？


今回はちゃんと夫にもお礼が言えたわ。でも心臓がドキドキして自分の声が聞こえなかったの。
本当に現実離れした経験で、まるで夢の中にいるみたい。目覚めたら、まだ２月２７日の朝で全部夢だったりしてね。
とにかく、恐れ多い気持ちよ。信じられないわ





Ｑ：これからもいい役が回ってきそうですか？


そうなることを願ってるわ。


“ＭＤＢ”は、７月３０日に撮り終えたの。
それで女性の出ない作品を撮るクリントに、“私を男役で”と。
また頭をそって、彼の映画で使ってもらおうと思ってね（笑）。


理想的な役に出会うのは難しいわ。多くの女優がそう言ってるわ。
今度はそれほど間を空かずにいい役がもらえるといいけど、どうなるかしらね。








■　イーストウッド


Ｑ：何から活力を得ています？　また今夜の予定は？


（少しおどけて）ワオッ、両方答えられないね。
でも来年、スピルバーグと一緒にやる企画があるんだ。
"Flag Of Our Fathers" だ。まだどうなるかわからないがね。


活力というか、単純に“ＭＤＢ”はストーリーに惹かれた。
Ｆ・Ｘ・トゥールの本の中でも、この作品は特に良かった。それで去年、脚本を渡さ れて“やる”と答えたんだ。
いい役どころというだけでなく、いい映画になると思ったからやることにしたのさ。


１３年前、「許されざる者」のなかで私はこんなセリフを言った。
“功績と報酬は関係ない”
絶対そうだとは言わないが、他人の評価なんて予想出来るもんじゃない。


アカデミー賞を受賞した素晴らしい映画はたくさんある。そして受賞しなかった素晴ら しい映画もたくさんある。
とにかくベストを尽くすしかないのさ。





（※これは、他のトピックス記事からですが）
スコセッシについて。


マーティと私の受賞レースのように盛り上げられて、ちょっと残念だったね。私は彼と 、彼が数年に渡って手掛けてきた全ての作品を多大に尊敬しているんだ。

2005　/　02　/　27

以下の文章に関しては、ネット上の関連トピックス、インタビュー記事、 アメリカのファンサイトの投稿内容を基に、私が構成したものです。


これらの各情報においては、事象の該当年月、関係者の発言等が微妙に食い違っており、 その事実関係が100％信用出来るというものではありません。


私自身の推測も含まれており、当然、公式のものでないことをお断りしておきます。
とりあえず、“参考までに”ということで、よろしく了解下さい。
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元ボクシングの試合のマネージャーおよび“カットマン”ジェリー・ボイドが、 自分の長年の経験を基に、Ｆ・Ｘ・トゥールのペンネームで書いた処女作の短編小 説集 "Rope Burns: Stories From the Corner" （邦訳名：「テンカウント」）は、20 00年に出版された。


既にテレビ界では成功していた脚本家ポール・ハギスは、90年代末に映画界に活動の場 を求め、初監督作品である"Crash" の脚本を仕上げた後、次回作の素材を探していた。
2001年頃、ハギスは車を運転中、ラジオから流れてきた、"Rope Burns" について 語っているトゥールのインタビューを聞き、特に小説の一編である「ミリオンダラー・ ベイビー」に興味を持った。
ハギスはすぐにトゥールに連絡し、権利を得ようとしたが、72歳で自分 の子供たちに金を残したがっていたトゥールは高額の金額を彼に要求し、ハ ギスは一旦望みを捨てた。


一方、ハギスが断念する以前の2000年頃に、「ゴッドファーザー」でオスカーを 受賞をしている、映画製作者のアルバート・Ｓ・ルディは、友人の女優ア ンジェリカ・ヒューストンより、是非読んで欲しいと"Rope Burns" を渡され、本を読ん で感動したルディは、やはり映画化を思いついていた。
（Ａ・ヒューストンの父親、ジョン・ヒューストンは10代の頃、ボクシングをしており、 1972年には「ゴングなき戦い "Fat City" 」という作品も作っているので、自然と 彼女もボクシングに興味を持っていたせいかもしれない。）


（追記：研究本「Ｅ/Ｍブックス　クリント・イーストウッド」によれば、ア ンジェリカ・ヒューストンが自身で監督するつもりであったとのこと。）


ハギスとルディは、チャック・ノリス主演のＴＶドラマ・シリーズで一緒に仕事 をしていたせいもあり、互いに同じ作品に興味を持っていることを知ってタッグを組んだ。
二人は再びトゥールに交渉を続け、最終的にトゥールは彼らに権利を与えた。





ハギスは、権利が得られる前から既に脚色作業を始めており、「ミリオンダラー・ベイビー」 をベースにやはり本の一編である "Frozen Water" の内容等も織り込んでストーリーを作 っていた。
（モーガン扮する“スクラップ”のキャラも本作より）
そして主な3人の登場人物は、イーストウッド、モーガン・フリーマン、ヒラリー・スワンク を思い浮かべて書いたという。


脚本完成後、2002年頃から、ハギスの監督作品という形で具体的に映画化が進められたが、 当初、ハギスとルディのキャスティングに対するアプローチは異なっていた。
ハギスは脚本を書いていた時と同様のキャストを考えていたが、ルディの方は主人公の フランキーをアーノルド・シュワルツェネッガーが適役と考えていた。
ルディは両者に脚本を送るが、シュワルツェネッガーはパス。 イーストウッドも（この時点で脚本に目を通していなかったのか？）役者業はもう 引退したとして企画を断った。


モーガン・フリーマンは最初に出演をＯＫしたが、フリーマン自身はフランキー 役を演じるよう働きかけていたという。


マギー役は、サンドラブロック、アシュレイ・ジャッドに出演交渉するも断われ、 レイクショア・エンターティンメント社のトム・ローゼンバーグが、製作作品 「ザ・ギフト」で仕事をしたスワンクに打診し、彼女に内定する。



（注：サンドラ・ブロックはアカデミー賞発表後、オスカーを逃したのでは、とのマスコミの 質問に対し、オファーを受けたことは否定、それよりも前に、自ら同作を製作・主演で映 画化しようとしていた、とコメントしている。追記：前述の研究本によれば、監督候補は シャカール・カプール）


しかし、肝心の主役が決まらず、企画は一時立ち止まるが、やがてローゼンバーグも 企画に関わるようになり、再度イーストウッドに交渉することとなる。





結局、2003年12月、脚本を読んで気に入ったイーストウッドはハギスに電話をして、 主演を承諾すると同時に監督もやりたいと彼に打診、ハギスは、「もちろん、是非やっ て欲しい」と即答したという。


ハギスは製作、フリーマンはスクラップ役に回ることで、企画はひとまず確実なものとなった。


2004年に入り、製作も兼ねたイーストウッドは早速、制作費を集めるため、ワーナー・ ブラザースに企画を持ち込むが、“いまどき、ボクシング映画は当たらない”という理由 で却下される。


次に、3、4の製作会社に交渉するが、全て断られ、トム・ローゼンバーグだけが、外国 での配給権を得ることを条件に、3000万ドルの制作費の半分を融資した。
（この結果、海外での配給権は、カンヌ映画祭で競売され、日本は“ムービーアイ”が 購入となった）


結局、その後、ワーナーが連絡し直してきて、国内配給権を条件に残りの 制作費を出すことに同意する。





撮影は6月末よりロサンゼルスのダウンタウンでのロケーションからスタート。
今回は、ハギスの脚本をいっさいリライト（書き直し、修正）せずに、オリジナル通りに 撮影されたという。
広報担当者もつけずに、撮影はひっそりと行われ、いつものイーストウッド作品同様の早撮りで、 39日間の予定を37日間で終了した。


作品完成後、試写を見たスタジオ関係者はその出来映えに驚嘆し、9月には、元々2005 年初旬に公開予定であった本作を、アカデミー賞の選考期間に間に合うよう年内に公開する ことをイーストウッドと話し合い、決定する。
噂によれば、当初ワーナーは、オリバー・ストーン監督の「アレキサンダー」をアカ デミー賞候補としてプッシュする予定だったのだが、その出来が思わしくないことから、 急遽「ミリオンダラー・ベイビー」に変更したとのことである。


イーストウッド自体は、感謝祭直後（11月末）の頃でも公開しても良いと考えたが、スタジオ の配給担当者がアカデミー賞の宣伝活動の準備がかかるとして、12/14を予定した。
これに対して、イーストウッドは「キャンペーンなんて仕掛けなくてもよい。何も仕掛けな くていいんだ」と言い、派手な宣伝活動を控えるように主張したという。
彼は「ミスティック・リバー」同様、批評家や観客の口コミが一番効果的であると信じていた。


批評家筋への試写会は、10月頃より国内各地で徐々に行われ、ロジャー・エバートな ど国内の主要な批評家たちが作品を絶賛していたが、肯定的な作品評に自信があったのか、 11月末までイーストウッドはハワイで悠々静養中だった。








12月に入り、アメリカ国内の映画賞レースがスタート。
先陣を切る「ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞」では、優秀作品トップ10において 4位に入選となり、イーストウッドは作品における製作・監督・主演・作曲の功績に対し、 特別映画製作功労賞を受賞する。


12月7日には、ニューヨーク近代美術館でワールド・プレミアを行う。
通常はハリウッドでの派手なお披露目が普通だが、知識人の集うニューヨークで控 え目に行った事にイーストウッドの戦略が感じられる。


その後、各地の批評家協会賞も次々発表されたが、まだ未見の人が多いせいもあり、この時点 では、アレクサンダー・ペイン監督作品「サイドウェイ」がほとんどの賞を独占していた。


12日には、「ゴールデン・グローブ賞」のノミネートが発表。 初の作曲賞を含む5部門で候補となる。


14日には、ついにニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴなどで限定公開がスタート。
わずか8館での公開のため、当然、週末興行成績にはランクインこそしないが、 週末成績は179,953ドルを売上げ、上々のスタートとなる。





2005年に入ると、作品を見た人の数も増えたせいか、各批評家協会賞で作品賞、 そしてヒラリー・スワンクの主演賞の受賞が目立ち始める。
特にスワンクは各賞を総ナメ状態だった。


Ｇ・グローブ発表の前週には劇場数は109館となり、興行成績でも15位に浮上する。


そして16日、Ｇ・グローブの発表。 1月に入って「ミリオン」同様スパートしてきた「アビエイター」が3部門、 「サイドウェイ」、「ミリオン」がそれぞれ2部門と賞を分け合う形となり、 本番のアカデミー賞は混戦が予想された。
特にイーストウッドが監督賞を受賞したことで、これまでオスカー受賞の無 いスコセッシとの一騎討ちがクローズアップされ、噂されるようになる。


25日にはついに、アカデミー賞のノミネートが発表。


11部門ノミネートの「アビエイター」と、7部門と数こそ劣るが、候補作品中、唯一、 "BIG 5" ＝主要5部門にノミネートされた「ミリオン」、今年のアカデミー賞は、 事実上この2強の対決となった。
ちなみに、書類提出時の不備で、オリジナル作曲部門は選考外になった。





さて、批評家関係の映画賞は一段落し、1月末からは、ハリウッド内の業界賞ともいうべき、 各分野の組合賞の発表が続く。


「製作者組合賞」は「アビエイター」が受賞したが、「監督組合賞」はイーストウッ ドが受賞したことで、ますます両者の対決が話題となる。
またアカデミー賞のノミネート発表後のボックス・オフィス（全米週末興行ランク）は、 2010館と一気に増やした「ミリオン」が3位にランクイン、同様に劇場数を大幅に増やした 「アビエイター」も6位、「サイドウェイ」7位と、興行成績の面でも接戦を繰り広げる。





尻上がりに上昇傾向の「ミリオン」だったが、2月に入りアカデミー賞が噂されるのと 反比例して、作品に対してのバッシングが目立つようになる。
作品の結末部分を巡って、関係諸団体が抗議運動を起こしたり、一部の批評家が、それを 取り上げ、平然と結末のネタばらしをしたことで、映画批評の在り方の是非を問うまでに発展した のである。
この辺の事情が“作品賞を獲れないだろう”という推測の根拠になっていたのだが、 今になって考えれば、このことが逆に選考会員に作品を強くアピールしたとも考える。


オスカー前の主要賞としては最後とも言える、「映画俳優組合賞」が2月5日発表され、スワ ンクとともに、それまで無冠であったモーガン・フリーマンがここにきて助演男優賞を受賞 した。
同組合賞における作品賞ともいうべき、“アンサブル賞”は「サイドウェイ」が受賞し、 「アビエイター」はケイト・ブランシェットのみ受賞という結果に。
作品賞を巡る予想は「ミリオン」もほとんど互角となっていた。


こうして27日、ついにアカデミー賞が発表。


前半から技術部門を独占していく「アビエイター」に、やはり圧勝かというムー ドが流れたが、後半、スワンクの主演女優受賞から、監督、作品と制し、一気 に逆転勝利という結果となった。


映画賞レースの戦前から、口コミによる地味な宣伝活動が一番と公言してい たイーストウッドの言葉が立証された。


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最後に、“たられば”の話をしてもしょうがないが、一番最初のきっかけとなった、 アンジェリカ・ヒューストンが原作を読んでいなければ、この「ミリオン」は誕生しな かったかもしれない。
御存知の通り、「ホワイトハンター、ブラックハート」でイーストウッドが演じた主 人公の映画監督は彼女の父親ジョン・ヒューストンがモデル。
イーストウッドはアンジェリカと「ブラッドワーク」で共演しているが、劇中の冒頭で、 イーストウッドはあと一歩というところで犯人を逃してしまう。そしてアンジェリカ扮 する女医さんのケアのおかげで、復活し、最後には犯人を仕留めるのだ。


去年、オスカーを逃したイーストウッドが、アンジェリカのおかげで再び オスカーを手にしたと考えるのは強引なこじつけだが、ヒューストン家と イーストウッドには不思議な縁があると思う。

2005　/　03　/　30

アカデミー賞を筆頭にアメリカ国内の各映画賞を受賞した"MDB" 。


しかし、この作品をそもそも企画し、脚本を書き上げ、製作者として尽力した ポール・ハギスは、アカデミー賞、Ｇ・グローブ賞、アメリカ脚本家組合賞というメジャーな賞 にノミネートされるも、結局受賞は出来ませんでした。
アカデミー賞の作品においても、製作者の受賞対象は３人という規則があるため、受賞者とし てはクレジットされず、ちょっと気の毒な気がします。


というわけで、今回の作品でハギスが受賞した脚本関係の賞のひとつである、 「USCスクリプター賞」の授賞式に関するロイター通信のトピックスより。


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'Million Dollar Baby' Scribe Gets Posthumous Honor


　「ミリオンダラー・ベイビー」の原作者、死後に栄誉を受ける


　文：ボリース・キット (Borys Kit)





作家の故Ｆ・Ｘ・トゥールと映画脚本家のポール・ハギスは、クリント・イースト ウッドの監督作品「ミリオンダラー・ベイビー」において、登場人物たちに 生命を吹き込んだ働きに対し、日曜日（22日）、南カリフォルニア大学の脚本賞 (USC Scripter Award) を受賞した。





過去17年間に渡って与えられてきた同賞は、著者と映画のために脚色をした脚本家の 両者が表彰される唯一の賞である。
トゥールとハギスは、他に「サイドウェイ」、 "The Door in the Floor" 、 「ボーン・スプレマシー」、"Friday Night Lights" も含まれていた同賞の候補者の中 の勝者として、先月発表されていた。


トゥール -- 2002年に死去したジェリー・ボイドのペンネーム -- は、短編集である "Rope Burns: Stories From the Corner" （邦題「テン・カウント」） を執筆、ハギスは、 その短編の中のひとつである"Million Dollar Baby" を、同名の映画脚本へと脚色した。


トゥールの娘、エリン・パトリシア・ボイドは、70歳で、処女作の"Rope Burns" が 出版されるまでに、彼が作家として直面していた苦労 -- 長年、原稿が不採用だったこと、 二度の結婚の失敗 -- について涙ぐんで詳細に話してくれた。 彼は72歳の時には死去していた。


「今夜父は、私たちが彼の仕事を賞賛している様子を、天国から見ていると思います」
、と彼女は、ＵＳＣのキャンパス内にある「ドヘニー記念図書館」で、来賓を前に語った。
「彼は、自分の子供たちが父親の栄誉に包まれている様子を見ているでしょう。 私の父は自分の戦いに勝利し、現在は安らかに眠っています」。


ハギスは受賞時に、トゥールの物語の美点を保護すること、トゥールが恐れていたもの -- それは第二の「レイジング・ブル」ともいうべきボクシング映画 -- を作らないようにす ることに努めた、と語った。


映画の成功について彼が感謝した人たちの中には、製作・監督・主演のクリント・イース トウッドがいた。
「ハリウッドにおいて、素晴らしい映画を作る秘訣などない」と彼は語った。
「きちんとした映画の脚本を書いて、それをクリントイーストウッドに手渡し、邪魔に ならないようにすればよい」


ハギスに賞が授与される前に、脚本家のニコラス・カザンは、脚本の裏側に触れ、映画と 短編からある特定の重要な場面を強調し、ハギスの取り組む方法について議論した。


「脚本を書くということは苛酷なことだ」とカザンは語った。
「たとえ　ハードな練習しても、どのくらいトレーニングを積んでも、もしくはどの くらいの才能があっても、人は結局、対戦相手が自分を叩きのめすことができるという ことを認めるようにならなければならない・・・自分自身で」
ポール・ハギスはこの点で自身と向き合った。そして明らかに彼は勝ったのだ。





日曜日にハギスは、アカデミー賞の脚色賞を、「ビフォア・サンセット」、 「ネバーランド」、「モーターサイクル・ダイアリーズ」、「サイドウェイ」の 脚本家たちと一緒に争う予定だ。


（写真：左がハギス、右が故・トゥ−ルの娘さん）

2005　/　2　/　22